2017年3月2日、セーフィー株式会社が提供するクラウド映像プラットフォーム「Safie〜セーフィー〜」が、ネットワークカメラを提供するアクシスコミュニケーションズ株式会社のカメラ約200種に対応することを発表しました。この度のサービス提供開始を記念し、アクシス株式会社にて「小売・サービス業の防犯とマーケティングを革新するクラウド型IoTカメラ&アプリ 記者発表会」を開催。
記者発表会には、アクシスコミュニケーションズ株式会社 マーケティング本部 シニアマーケティングマネージャー 佐藤秀一氏、ソフマップ代表取締役社長 渡辺武志氏をお招きし、登壇いただきました。本レポートでは、当日の模様をお届けします。
「ACAP」という共通プラットフォームが、カメラにイノベーションを起こす
まず、アクシスコミュニケーションズ株式会社の佐藤氏が登壇。アクシスコミュニケーションズの紹介と、今回の発表に至った経緯についてお話いただきました。
アクシスコミュニケーションズは、1984年にスウェーデンで創業したネットワークカメラ の製造メーカーです。世界のセキュリティや監視カメラの領域のリーディングカンパニーとして世界50カ国に事業所を展開し、現在の従業員数は2,600名を越えます。世界中に90,000以上のパートナーが存在し、小規模からエンタープライズまで、幅広い分野の業種に対応するセキュリティカメラの提供を強みとしている企業です。アクシスコミュニケーションズの歴史について、佐藤氏は次のように語ります。
佐藤:
1996年に世界初のネットワークカメラを提供してから、21年間イノベーションを起こし続けてきました。2009年には、AXIS カメラアプリケーションプラットフォーム(以下、ACAP)をリリース。プラットフォームを提供することで、ネットワークカメラに対応アプリを搭載することが可能になりました。
ACAPと互換アプリの関係は、例えるならば、AppleのApp Storeとアプリの関係に近い。App Storeという共通のプラットフォームがあるからこそ、多くのIT企業がアプリを提供できています。同様に、ACAPという共通プラットフォームがあるからこそ、アクシスコミュニケーションズのカメラに様々な機能をアプリという形で搭載することができます。セーフィーもこの機能を活用し、ACAPを通じてセーフィーの独自アプリをカメラに搭載しています。
ACAPを通じて提供される具体的なアプリの例を挙げると、人数カウント、行列カウント、ナンバープレートの認識や顔認証などが存在。佐藤氏はACAP導入後のカメラについて「カメラは単なる撮影のための道具ではなく、インテリジェント化した頭脳である」と語りました。
セーフィーが目指す、「防犯ではなく、映像を生かす世界」
続いて、セーフィー代表取締役社長の佐渡島隆平が登壇しました。セーフィーの提供するクラウドプラットフォームについて、デモを交えながら解説。今回のアクシスコミュニケーションズとの連携の意義について、次のように話します。
佐渡島:
これまでセーフィーの提供するアプリに対応しているカメラはエルモ社の2機種だけでした。しかし、アクシスコミュニケーションズの200種類以上のカメラに対応をすることで、室内・室外のありとあらゆるシーンで活用できます。
では、セーフィーのカメラは小売業の現場でどのように活用されているのでしょうか。福岡を中心に60店舗以上展開しているホームセンター「グッデイ」さんでは、アクシスコミュニケーションズのカメラに搭載された「人数カウントシステム」と、店舗の持つPOSデータ、セーフィーのクラウド上に保存されている映像の3つを組み合わせることで、来店客が商品をとったタイミングを明らかにしているそう。このようにデータに基づいて来店客の動きを可視化することで、マーケティング施策の精度を高める効果があります。
他にも、小売店のレジが混むタイミングを計測し、店員の再配置を行ったり、土日の混む時間を分析することで、バイトのシフトの組み方を最適化したりすることができます。
小売業以外の現場でも、アクシスコミュニケーションズのカメラとセーフィーのサービスが連携することで、様々なことが可能になります。事例のひとつとして、ケイ・オプティコムとセーフィーが取り組んでいる法人向け「mineo監視カメラサービス」を佐渡島は紹介。
「mineo監視カメラサービス」は、格安スマホのLTEを使用し、ユーザーがあまり使わないSIMのアップロード領域に注目。空いているアップロード領域を活用することで、通信費を抑えて映像をアップロードできるため、監視カメラサービスの提供が格安で可能に。その際に、アクシスコミュニケーションズの持つ高圧縮技術である「Zipstreamテクノロジー」を活用することで、データ転送量を安く抑えています。
従来は通信費が月額1〜2万円かかっていたところ、「mineo監視カメラサービス」は、7日日録画コースの利用料が月額3,200円となっています。
最後に佐渡島はセーフィーが目指すビジョンについて語り、トークを締めました。
佐渡島:
あらゆるカメラがクラウドにつながり、画像認識技術が発達すれば、映像の利用用途はどんどん広がっていきます。セーフィーの映像プラットフォームが普及することで、防犯だけではなく、映像を生かす世界を目指します。
小売店におけるIoTカメラ「セーフィー」の活用方法とは?
続いて、ソフマップ代表取締役社長の渡辺武志さんが登壇。「小売・サービス業におけるクラウド型IoTカメラの現場での活用方法」をテーマに、お話いただきました。渡辺氏は2016年に、ビックカメラと東芝が共同で設立した防犯機器を扱う企業「セレン」にて代表を務めました。ご自身の経験を踏まえながら、セーフィーの2つの活用方法――「防犯・監視」と「万引き防止」について語ってくれました。
まず、セーフィーの「防犯・監視」目的の活用について、次のように語ります。
渡辺:
小売業において一般的な監視カメラを導入する際にネックとなるのが、初期費用です。小売店にカメラを4台導入しようとすると、カメラ本体の購入、HDDの購入、そして設置工事の費用で平均50万円かかります。
一方で、セーフィーの場合はクラウド利用料で月額4,800円がかかりますが、カメラ本体は1台約2万円で購入できるので、初期費用はカメラ本体4台分の8万円だけ。手元に潤沢な資金がないスモールビジネスを営むお店には、月額制サービスのほうが相性がいいのではないかと思っています。
渡辺氏は、一般的なカメラは固定されているため移動が難しく、店舗レイアウトを変更する際に工事費用がかかる事実を指摘。一方で、セーフィーのカメラは、移動が容易なため、店舗のレイアウトを変えた際にも、監視カメラを置きたい場所にすぐに設置しやすいという利点があります。
「カメラを移動しやすい」という点は、小売業が長年苦しめられてきた課題の解決にも活かせます。渡辺氏は、小売業における課題として、「万引き防止」と「レジ金不正」の2つを挙げ、セーフィーの活用方法について次のように語りました。
渡辺:
セーフィーのカメラはWi-Fiでネットワークに接続できるのでLANケーブルが不要です。また、電源もモバイルバッテリーを活用すれば、電源ケーブルも不要になりますよね。ケーブルの心配をせずにカメラを簡単に移動できると、万引きが起きやすい場所にピンポイントで設置することも。セーフィーのカメラは、万引きの抑止力として活用できそうです。
では、「レジ金不正」の対策にセーフィーはどのように活かせるのでしょうか。渡辺氏は次のように語ります。
渡辺:
レジのお金の不正は、昔から小売業で解決しにくい課題として挙げられていて。レジにセーフィーのカメラを設置しておけば、抑止力にもなりますし、店長が後から確認して、POSレジデータで気になる変化のあったポイントだけを、簡単に映像でチェックすることができます。
最後に、ソフマップならではのセーフィーの活用方法を次のように紹介してくれました。
渡辺:
ソフマップの店舗にはゲーミングブースがあり、よくイベントを開催しています。今後はセーフィーのカメラをそこに置いて、全国にライブ配信できればと思っています。イベントの生中継となると大掛かりな機材が必要でお金がかかることもありますが、セーフィーのカメラなら安価に生中継をすることができるので、イベントの魅力をより多くの人に届けられそうです。
記者会見終了後には、デモブースにて、アクシスコミュニケーションズのカメラとセーフィーのクラウド映像プラットフォームが稼働する様子をiPadで展示しました。
参加いただいた方からは様々な質問が飛び出し、代表の佐渡島自ら答えている場面も。記者発表会をするだけではなく、発表会後にカメラを実際に使ってみることで、セーフィーのクラウドプラットフォームとしての可能性を来場者の方に体感してもらいました。