全国の市区町村に先駆けた「橋梁補修」現場のDX導入により、業務効率化を実現

 クラウド録画サービスシェアNo.1(※1)のセーフィー株式会社(東京都品川区:代表取締役社長CEO 佐渡島 隆平、以下「セーフィー」)は、この度、熊本県玉名市にて、セーフィーが開発・運営するウェアラブルクラウドカメラ「Safie Pocket2(セーフィー ポケット ツー)」が導入されたことをお知らせします。橋梁のメンテナンス作業における遠隔臨場によって、移動時間の削減や業務効率化を実現しています。

導入の背景

 道路や橋梁など、社会インフラの適切な維持管理は、市民の生活上での利便性確保に留まらず、防災・減災の面から安心・安全な生活を送るための重要項目と考えられています。国土交通省では、2013年を「社会整備基本インフラ元年」と名付け、道路や橋梁といった公共インフラの計画的な維持管理、更新を進める方向性を示しました(※2)

 

 熊本県玉名市は、平成28年熊本地震での被災経験を経て、独自にインフラの立て直しと維持管理のため、市の職員自ら橋梁メンテナンス作業を実施し、現場の技術力や補修に対する即時性を高めてきました(※3)。2021年9月時点で、措置が必要な橋梁の着手率は全国平均(市区町村)48%であることに対し100%、措置の完了率は全国平均(同)32%に対し95%として、メンテナンス業務を行っています。また、全国の市区町村ではメンテナンス業務のファーストステップである補修完了に至った橋梁が半数に満たない中、玉名市ではほとんど完了し、次のステップである予防保全の段階に順次進んでいます。一方、橋梁は高度経済成長期につくられたものが多く、玉名市を含む各自治体では今後10年間で築50年越えの橋梁の段階的な増加が見込まれているため、メンテナンス業務をスムーズに遂行することが必要不可欠です。

 

 クラウド録画サービス「Safie(セーフィー)」は、これまで自治体や公共事業においても(※4)映像データを防犯用途だけでなく、遠隔での状況確認をはじめ、異常検知・予測、更には映像解析による業務効率化などの様々なソリューションとして提供してまいりました。特に、ウェアラブルクラウドカメラ「Safie Pocket」シリーズは、遠隔からのリアルタイムな現場立会や作業の指示出しを可能にするだけでなく、IP67防水・防塵のため、屋外の過酷な環境でも利用できるカメラとして活用が進められてきました。

導入の概要

 玉名市では「Safie Pocket2」を活用し、橋梁の劣化状況やメンテナンス作業の現場で遠隔臨場を実現しています。これまでは、上長が出張や会議などで現場確認に行けない場合は、日を改めて現地に移動する必要がありました。「Safie Pocket2」を活用することにより、現場の職員が撮影した映像をリアルタイムで確認するほか、時間が合わない場合の振り返り視聴も可能となりました。上長は状況判断や指示出しを行えるため、移動時間の削減だけでなく、判断待ちで現場作業がストップすることも減り、業務効率化に繋がっています。

 

 また、防水・防塵対応によって、暴風雨や埃、粉塵が発生する場所など、屋外の過酷な環境の撮影も可能となり、これまで映像データでの共有が困難な場面の作業も残せるようになりました。今後は、職員教育のため、映像データによる知見のストックを強化することにも役立てたいと考えています。

 

 

 

 

(※1)テクノ・システム・リサーチ社調べ「ネットワークカメラのクラウド録画サービス市場調査(2022)」より、エンジン別カメラ登録台数ベースのシェア(56.4%)
(※2)国土交通省「1 「社会資本メンテナンス元年」の取組みとその未来への継承」
https://www.mlit.go.jp/hakusyo/mlit/h25/hakusho/h26/html/n1331000.html
(※3)玉名市「玉名市橋梁長寿命化修繕計画の見直しを実施」(2023年3月31日発表)https://www.city.tamana.lg.jp/q/aview/139/25493.html
(※4)プレスリリース「セーフィー、静岡市、中部電力パワーグリッドと三者協働で実証実験を実施」(2023年4月6日発表):https://safie.co.jp/news/2369/

熊本県玉名市 建設部土木課 課長補佐 木下 義昭[博士(工学)]さまコメント

 私達は、平成28年熊本地震のような大規模災害を機に、有効な現場力を身につけることを目的として、市職員が自らの手で橋梁補修を行う直営施工「橋梁補修DIY」の実践や地域の建設業が橋梁補修を行う「分離発注」の推進を実行してきました。セーフィーのウェアラブルクラウドカメラは主にそれらの活動に役立っています。一方で、例えば、河川の水位の変化などをリアルタイムに遠隔で見守ったり、記録として映像を残せば今後の災害対策にも生かすことができたりするなど、災害時にも活用できるのではないかと考えています。市民の皆様が安心・快適に生活できる公共インフラを維持できるよう、創意工夫してメンテナンス品質の向上と効率化の両立を図っていきたいと思っています。