映像×AIによる混雑状況の可視化で、パブリックスペースの快適性と安全性の向上へ

 クラウド録画サービスシェアNo.1(※1)のセーフィー株式会社(東京都品川区:代表取締役社長CEO 佐渡島 隆平、以下「セーフィー」)は、神奈川県逗子市と協働し、逗子海水浴場の防犯対策と感染防止のため、クラウドカメラと映像解析AIの活用によって混雑状況を可視化する試行的取組を実施しました。本日はその試行的取組の結果を発表いたします。

 

取り組みの背景

 2020年からの新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大の影響を受け、当年度と翌年度(逗子海水浴場について、令和3年度は途中休場)では、神奈川県内の全25箇所の海水浴場が開設を断念いたしました。感染拡大から3年目の今年は、約8割強の海水浴場を開設するにあたり(※2)、利用者への適切な感染対策を実施し、密集状態を避け快適に過ごせるような対応が求められていました。これらの経緯から目視での人数計測方法等に代わる円滑なオペレーションを実施し、より適切な感染対策に繋げることが必要でした。

 

 これまで自治体や公共事業における現場のDXを推進してきた(※3)セーフィーは、逗子海水浴場において、利用者の安心・安全な活用を促進するための防犯対策、並びに、新型コロナウイルス感染防止に向けて、クラウドカメラと映像解析AIの活用によって混雑状況を可視化する試行的取組を実施しました。逗子海水浴場は日本国内でも有数の人気の高い海水浴場であり、利用者の「空いている時間帯を知り安心して利用したい」「過密状況を避け、密集による感染リスクを軽減したい」というニーズに応えていきたいという希望がありました。

 

取り組みの概要

  • 実施概要
    (1)逗子海水浴場に設置したカメラ経由の映像を市役所等から遠隔で確認(※4)
    (2)対象エリア内での利用者数計測
  • 実施場所:逗子海水浴場の遊泳区画内の砂浜
  • 実施期間:2022年7月21日~ 2022年9月4日(計46日間)
  • 実施手段:「Safie GO(セーフィー ゴー)」(8台)(のち8月19日から1台追加)「OPTiM AI Camera」(※5)「AMBL AI人数カウンター」(※6)
  • 収集活用データ:逗子海水浴場のカメラ設置エリアの利用者数(※7)
  • 実施目的
    (1)利用者が安全かつ快適に海水浴場を活用するための防犯用途・過密状況の把握
    (2)逗子市役所が運営している公式SNSにて定期的に混雑状況の発信を実施(※8)

取り組みの結果

【1】海水浴場の遊泳区域内の混雑状況をリアルタイムかつ定量的に把握

・取り組み:カメラ8台のリアルタイムな映像解析から訪問者数を自動的に算出
・結果:これまでは、海水浴場の海当番(※9)が定期的に海水浴場を訪れ、目視で遊泳区画内の状況を判断し、現地から混雑状況の発信を行っていました。各カメラのリアルタイムな映像解析によって、訪問者数の人数推移データの取得に繋がり、目視に比べて短時間かつ定量的な混雑状況を遠隔から把握できたとともに、現地映像を確認できることから、混雑度の判断材料の一つとして活用することができました。

【2】遊泳区域内全体において訪問者数を時間帯別・エリア別の傾向を把握

・取り組み:カメラ8台の映像解析から訪問者数を時間帯・エリア別に算出
・結果:これまでは、海水浴場の海当番が定期的に海水浴場を訪れ、目視で遊泳区画内の訪問者数を計測し、現地やSNSにて混雑緩和対応を実施している状態でした。各カメラの映像解析によって、混雑状況を時間帯別・エリア別に傾向を把握することが可能となり、より適切かつ安全性の高い混雑緩和対策実施に繋がるデータの利活用が期待できるようになりました。

【3】混雑時において目視と同じレベルの精度での利用状況を把握

・取り組み:カメラ8台の映像解析から「人物」「パラソル・テント」「砂浜の占有率」を検知・測定:混雑度判定モデルを開発し、人物などの得られた測定値をもとに混雑度を算出。
・結果:これまでは、海水浴場の海当番が定期的に海水浴場を訪れ、目視で遊泳区画内の状況を判断し、混雑緩和対応を実施している状態でした。各カメラの映像解析の対象に「パラソル・テント」検知と「砂浜の占有率」を追加し、混雑度を目視と同じレベルの精度での算出が可能となり、より正しく利用状況を把握することができました。

 

(※1)テクノ・システム・リサーチ社調べ「ネットワークカメラのクラウド録画サービス市場調査」より、エンジン別カメラ登録台数ベースのシェア(56.4%)
(※2)神奈川県:令和4年度の県内海水浴場について(2022年9月30日発表)
https://www.pref.kanagawa.jp/docs/e8z/cnt/f6464/r4kaisuiyokujou.html
(※3)プレスリリース「八千代市消防本部がウェアラブルクラウドカメラを試験導入し、災害対策を強化」(2022年3月8日発表):https://safie.co.jp/news/1581/
(※4)カメラの運用は逗子市防犯カメラの設置及び運用に関する要綱に則って実施予定です。
https://www1.g-reiki.net/zushi/reiki_honbun/g210RG00001277.html
(※5)株式会社オプティムが提供しているクラウドAI画像解析サービス
(※6)AMBL株式会社が提供するAI画像認識を利用したサービス
(※7)収集した映像データはクラウドに保存の上、要綱に則り管理責任者及び指定した職員のみが適正に取り扱いました。
(※8)逗子市:逗子海水浴場の最新の遊泳状況、条例・規則等の海水浴場のルールについて発信する公式アカウント
https://twitter.com/z_kaisuiyoku
(※9)逗子市職員の逗子海水浴場を定期的に訪問する担当

今後の展開とSDGsについて

 今回の取り組みにより、これまでパブリックスペースの混雑状況を現地から目視で判断しSNSにて発信していたところを、将来的には、クラウドカメラの活用により、混雑状況を遠隔から定量的に把握し、SNSで自動配信ができるような運用に繋げられることが期待できます。
パブリックスペースの運営者にとってもこのような業務効率化、省人化を進めることによって、利用者が暮らしやすい環境整備をより実現しやすい状況を提案できました。
今後も、日本全国の公共空間をより快適かつ安心・安全に利用いただけるよう努めるだけでなく、適切な活用を通して持続可能な社会を後世に受け継いでいくことにも繋げていきます。

 

 今回の取り組みは、SDGsのゴールのうち、特に9番、11番、17番に貢献するものと考えています。