2019年10月23日にリリースしました、セーフィー初の顔認証サービス「Safie Visitors(セーフィー ビジターズ)」を開発したエンジニアに、開発時のエピソードや大変だったポイント、今後の展開についてインタビューしました。
昨今、解析やAI、顔認証技術などのサービスが多く市場に出始め「何ができるのか」が現場で選ばれ使い続けられるポイントではないかとセーフィーは考えます。
「何を解決するため」にセーフィーはこのサービスを開発したのか、構想からリリースまでの約9ヶ月を振り返り話をしてもらいました。
開発担当者
(左から) 近藤昌史 / 森本数馬 / 鈴木敦志
クラウドで「視聴・録画・認証・転送」をリアルタイムに
Safie Visitorsは、「VIP顧客のランクが何種類かあり、新人スタッフにランクを教えてくれるシステムがあればおもてなしが充実する」というある大手アパレルショップさまでの話から、それならば「映像×顔認証」技術で解決できるのではと、サービスの開発が始まりました。
当時、企画メンバーから開発要件を聞いた時は、既存サービスではカメラのキッティングやオンプレミスのサーバー敷設等にコストがかさみ、コスパが良いと思えるものがありませんでした。
そこで、セーフィークラウドのカメラ管理・動画配信インフラを利用することで、顔認証システムを高い利便性・信頼性と低コストで提供することを目標として開発を開始しました。顔認証技術の選定から始まり、世界的に評価が高い技術を採用することになります。
開発当時の苦労したポイントや、解決できた要因を振り返ります。
「選定した評価の高い顔認証技術でも、正確に認証させるにはビットレートが高くないと精度が上がらない。」
世にある顔認証サービスは、カメラ側で処理するものと、セーフィーの様にクラウド側で処理するものの大きく分けて2つがあります。
顔認証を行うには高い画質が必要ですが、動画のビットレートを上げるとネットワーク回線に負荷がかかり、動画保存・配信のためのコストに跳ね返ります。クラウドに録画データを残しつつ、顔認証もリアルタイムに精度高く高速で処理、他社でもまだ見たことのないサービス開発へのチャレンジとなりました。
また、市場の要求の多さからこのサービスを利用するユーザーとして想定しているのが「複数店舗を運営」していること。複数拠点の店舗において認証情報の共有を実現できるのはクラウドならではです。
「YouTubeのように映像を視聴している一方で録画、そして顔認証を同時に実現、とても工夫が必要な開発なんです。」と開発担当者は語ります。
まずは、実際の飲食店や小売店にカメラを設置させて頂きPoC(実証実験)を実施。
その中で「実店舗ではカメラの設置位置や外観、照明環境に強い制約がかかる」という当初の想定より重い課題が出てきました。
逆光や暗所でも認識精度に問題が無いように、カメラでの前処理や設置画角の模索から始まりました。設置するときの手間、画角・照度の設定など、カメラの設置環境に顔認証の精度がかなり依存するという現実は難易度が高く苦労しました。
アナログな方法で最新技術の精度を上げる
オフィスにもカメラを4台設置し、システムを動かしながら何件認証できたかなどを、録画を見返し人の目で「落とした」「取得できた」と数え、また設置先のお客さまにご協力頂きながら至極アナログな方法で地道に精度を上げていきました。
エンジニアが実際に店舗へ訪問しての作業もたびたびありました。
実際の店舗でマーケティングとしてお客さまの性別や年齢を正確に分析しようとすると、同じようにずっと現場を見ながら計測しないといけないのが現実なんだなと、肌で感じることができ、少しでも自動化・省力化ができれば良いと思いました。また「使える技術」とも言ってもらえたので、開発に力も入りました。
そして実際のお客さまの声を聞くことにより「本当にそれは顧客に必要になるのか」の部分がクリアになり整理されていきました。
こういった過程を経て既存製品よりロバストネス(頑強)なサービスができたと思います。
カメラ設置以外にも苦労したポイントがありました。権限周り、アクセス管理の設定です。
マーケティング担当者、エリアマネージャー、店長、スタッフなど、様々な利用者の状況を想定した議論を重ねました。「どの役割の方がどこまで操作できるのか」法律的な問題も含め、グルーピングやラベリング機能など、個人情報保護法をはじめとする法令や規則などのガイドラインを元に商品企画と連携して考え抜きました。
セーフィーには不向きな「顔認証」
そして、開発で最も苦労した点は、市場に合うコストにまとめることだったと振り返ります。
セーフィーはビットレートをおさえつつも綺麗に見えるという特殊な見せ方をしており、高精細ではないのに高画質であることが技術のポイントです。
しかし、顔認証はビットレートが高くないと精度が高くならない。顔認証はどちらかというとセーフィーには不向きだと考えていました。
リアルタイムに高速で認証処理するには、デバイス、UIなどで、顔の切り出しから画像処理まで、サーバー全体の最適化が必要でした。
「UIを支えるバックエンドエンジニアがかなり頑張ってくれました。」
また安価で高精度に仕上げるためのコスト管理、インフラ設計の工夫などが、このサービスの特異ポイントとなります。
将来はSafie VisitorsをPOSレジのジャーナルデータとつないで、来店人数と購買数から購買率が自動で見える化されたり、お客さま属性をマーケティングに活用、宣伝の効果測定など、店舗運営の効率UPや人手不足の解消に役立つものなど、アプリケーションを充実させていきたいと考えています。
「裁量がありすぎた場面が多かったです(笑)が、学びも課題もたくさんありました。」
新サービスはもちろんですが、品質を上げたりバージョンアップだったりと、まだまだサービス開発は終わることはありません。
ぜひたくさんの店舗において、色んなシーンでの課題解決にお役立て頂けると嬉しいです。
最後までお読み頂きありがとうございました。
セーフィーでは一緒に開発を支えてくれるエンジニアを募集中です。
サーバーからカメラ映像ビューアー、組込みソフトウェア、AIまで自社で開発しているため、活躍の場は多くあります。
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